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使いこなそう 標準スイッチング電源

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スイッチング電源は小容量から1,500Wを越える大容量まで標準品がラインアップされ、半導体やセンサーなど各種電子機器の駆動用として使用されています。ここでは、近年使用頻度が高まってきたバッテリー充電用途と、モーター駆動用途について注意するポイントを説明します。

バッテリー充電用途に標準スイッチング電源を使用するには

過電流保護特性

一般的なバッテリーの充電方法としては定電流による充電が挙げられます。この充電方法は、充電の開始から終わりまで一定の電流でバッテリーに充電する方法となります。
それに対して、標準スイッチング電源(以下電源)は、定電圧電源であるため出力電圧の変動を監視し、その結果を制御回路に入力して定電圧制御(フィードバック制御)を行っています。このため出力電圧は一定に保たれますが、出力電流は負荷条件により変動するので一定の電流(定電流制御)を必要とするバッテリー充電においては、そのまま使用することはできません。

そこでバッテリー充電時は、電源の過電流保護機能を利用します。本来、過電流保護機能は電源が過負荷となり定格以上の電流が流れた際、電流値を抑え電源自体の劣化・破損を回避することを目的とした機能です。ここでは、その電流値を抑える動作を流用し、その抑えられた電流をバッテリーの充電定電流として利用するわけです。
ここで注意しなければならないのは、過電流保護の特性によってはバッテリー充電に適さない特性があることです。電源の過電流保護特性は図1の通り、主に3つの方式が挙げられます。

この内、バッテリー充電に適した方式は、定電流電圧垂下特性を持つ電源であり、この定電流領域を利用することでバッテリーへの定電流充電を行うことができます。なお、その他の過電流保護特性を持つ電源は、バッテリーへの充電に適していませんので、電源を選定する場合は注意が必要となります。

さらに、先程説明したようにこの定電流領域は、電源の劣化・破損を回避するための過電流保護動作状態であり、電源の仕様で規定されている定格電流を超えて(定格電流<過電流保護設定電流)に使用することになります。この場合、(過電流保護設定電流<定格電流)となるように、電源の過電流保護設定電流値を変更する準標準対応が必要となります。また、これまで説明した過電流保護機能を流用する方法以外にも、電源に外付け回路を接続し、定電流制御をさせる方法があります。具体的に当社製HWS1000を例に挙げ説明します(図2)。

電源の負荷線にシャント抵抗(①)を付け、出力電流をシャント抵抗にて電圧変換し、出力電流を検出します(②)。
また、定電流垂下点調整回路を設け、過電流設定基準電圧を作ります(③)。
この②と③の電圧をオペアンプ(④)にて比較し、フォトカプラ(⑤)にて電源の出力電圧を制御します。なお、この方法は出力電圧外部コントロール(PV可変機能)を持った電源の定電流回路構成例となり、必ず定格電力以下でご使用頂く必要があります。

モーター駆動用途におけるスイッチング電源への影響について

ブロック図

モーター駆動用途として標準スイッチング電源を使用する場合、モーターの停止時に、コイルのインダクタンスにより逆起電力が発生し、電源の出力低下などの不具合を起こす可能性があります。
この現象は、電源内部に独立した補助電源を持たない、主に300W未満の出力容量タイプが対象となります。

電源起動時は、整流回路から高調波電流抑制回路を経て平滑回路の入力コンデンサー(C1)の両端に約DC370Vの昇圧電圧がかかります。
さらに、そこから起動抵抗R1を介してPWM制御IC(以下IC)のVCCに電圧が供給されます。このVCCが、ICの起動開始電圧以上になりICが動き始めるとMOS FET(Q1)がスイッチングを開始します。

その後、ICの駆動電圧はメイントランスの補助巻線タップ(巻線3)から供給を受けます。つまり、R1を介した電圧は起動時のIC立上げのみに使われることとなります(定常動作)。
では、モーター停止時に出力電圧が低下するメカニズムを、図4のブロック図内の各部波形で説明します。電源の定常動作において、モーターが停止すると逆起電力が発生します。
電源の2次側に逆起電流が流れ込み出力電圧が上昇、ICは出力電圧の上昇を検出し出力電圧を下げるためパルスを狭めようとしますが、制御系の遅れにより即座にパルスを狭めることができず、出力電圧が定格電圧を超えてしまう現象が生じます(①)。

その後、電源2次側に出力コンデンサー(C2)があるため、出力電圧がすぐに定格電圧まで戻ることはなく、ICはしばらくの間パルスを閉じたままの状態となります。

モーター停止時の各部波形

一方、ICのパルスが閉じるとQ1が動作しなくなり、メイントランスの補助巻線タップからの電圧供給が途絶えます。よって、VCCは徐々に低下します(②)。
さらにICの停止電圧までVCCが下がると(③)再起動モードとなり、再度起動抵抗R1を介してICのVCCに電圧が供給されますので、ICの起動電圧まで上昇するためには数十m sの時間を必要とします(④)。
よって、その間は出力電圧が低下してしまいます(⑤)。

これらの理由によりスイッチング電源にモーター負荷を接続する場合は、逆起電力により電源出力端の電圧が上がらないようにする必要があるため、逆電流防止用のダイオードを電源外部に接続することを推奨します。なお、モーター専用電源であれば、そのダイオードを電源に内蔵することも考えられますが、部品発熱や電源効率の低下がデメリットとなりますので、モーター以外の用途も考慮する標準電源では内蔵していないことを追記しておきます。

(株式会社高木商会発行 PSMOOK vol.113 TDKラムダ株式会社 基礎知識:第2回より)

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