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<直流回路の保護>DCヒューズで危険なアーク放電をシャットアウト!

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CPUやメモリの低電圧化・大電流化・高速化が進み、負荷の近くで出力電圧をDC0.8~5.5Vに分散するDC/DC電源の需要が急速に拡大しています。

また、近年のエネルギー問題、環境問題から太陽光発電、風力発電、燃料電池、電気自動車の普及に向けたインフラ整備等、効率的で安全な運転制御や各種電圧間を変換するための昇降圧コンバーターやシステム全体をバッテリーでバックアップする直流回路のアプリケーションが増加しています。このような背景で直流回路の装置を安全に過電流から保護するDCヒューズが求められています。

DCヒューズの選定

一般の電気機器に電圧が定められているように、ヒューズにも使用できる電圧が定められています。ヒューズは、正常に装置が動作している時は電圧に関係なく電流を流し、回路に何らかの異常が発生した時、保護のために溶断(切れる)します。

この時、問題になるのはヒューズには回路電圧が掛かる状態になり、アーク放電現象(スイッチを切った瞬間のスパーク)が発生することです。アーク放電は低電圧大電流の持続放電で、アーク放電が維持できる条件が整えば、放電は止まらない性質を持っています。

このアーク放電は電圧が高く電流が大きい程激しくなり、ヒューズの能力を超えた場合は回路を遮断できず機器そのものが破損する場合があります。このような状況を回避しヒューズを安全に使用して頂くための上限として定格電圧と短絡遮断(※1)容量を定めています。

遮断現象

遮断現象

電流を遮断するためには、安全に素早くアーク放電を止める必要があります。

一般に使われるスイッチの場合は、電極間を強制的に広げることでアークを断ち切りますが、ヒューズが溶断する時は何らかの異常電流が流れていますので、スイッチのように簡単にアーク放電を止められません。ガラス管ヒューズでは、管内の空気と内壁への吸着でアークを止めて電流を遮断しています。
図1に遮断波形の一例(AC250Vの回路で、回路短絡電流100Aを遮断している状況)を示します。写真1は、ガラス管内に金属化合物が付着している様子です。写真1:ガラス管内に金属化合物付着

交流回路と直流回路の遮断の違い

AC電圧は正弦波のため、50Hzでは10ms毎に電圧がゼロになります。

電圧0Vでアーク放電は消滅するので、直流回路ではヒューズ溶断後の半サイクル10msの間にヒューズの内部がアーク放電に耐えることができれば、電流を遮断できます。
一方、DC電圧は電圧がゼロにならないので直流回路でアーク放電が発生した場合、何らかの方法でアーク放電を止める必要が出てきます。

図2は、図1のヒューズをDC250Vの回路で、回路短絡電流100Aを遮断しようとしている波形です。ヒューズの遮断能力が不足しているため、アークが切れず遮断不能となり、ヒューズ管の破壊、発火が発生しています(写真2)。

写真2:遮断不能で発火

直流遮断ヒューズの特徴

遮断の違い

交流の遮断範囲

直流回路でアーク放電を止めて回路電流を遮断するためには、端子周辺を高耐熱・難燃性の物質で電気的に完全に絶縁してアーク放電を発生させない構造、ヒューズエレメントを高耐熱・難燃性の物質で封止して空間をなくしアーク放電の成長を許さない構造、高融点金属をアーク路の近傍に置いてアーク放電のエネルギーを奪い、アーク放電の低抵抗状態を高抵抗にしてしまう方法等があります。

当社では色々なアーク放電の抑制方法を工夫して、各種形状、幅広い電気定格の直流遮断ヒューズを開発、商品化してまいりました。

最後に

身近にある直流電源は大容量化に向かっており、回路短絡時のヒューズの遮断電流も10kAまでの要望を頂くようになってきました。当社では今年DC650Vで瞬時に10kAを流せる直流遮断試験設備やDC1,500V、1,000A以上の高電圧の遮断試験設備を整備して検証試験環境を整え、より大きな定格電流、より高い定格電圧のヒューズを目指し、お客様のご要望に合ったヒューズの開発・商品化を進めています。

※1 短絡遮断とは、定格電圧においてヒューズが安全に回路の異常電流を遮断できる回路電流の上限です。

(株式会社高木商会発行 PSMOOK vol.107 大東通信機株式会社 Topicsより)

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