920MHz帯無線(マルチホップ)「くにまる®」で無線による多重伝送システム構築
IoT導入が活発化する中、今回は、現場に点在する多数のセンサ信号を広範囲に収集してモニタリングするシステムの構築用として、エムジーの920MHz帯マルチホップ無線に対応した機器「くにまる®」をご紹介します。
ポイントになるのが「920MHz帯無線」「マルチホップ無線」ですが、まずはその特長からお話します。
920MHz帯無線とは
920MHz帯は、従来の免許不要な無線周波数(2.4GHz/430MHz)と比べて、つながりやすい周波数帯です。無線ユニットは、見通しで1kmの通信ができますので屋内外での比較的広い範囲でネットワークを構築できます。
送信の占有回避、データの衝突回避の仕組みが制度上で定められており、近接したネットワークからの影響を低減できます。免許登録が不要であり電気通信事業者に支払う「通信費」は不要のため、コスト面においても優れています。
マルチホップ無線とは
マルチホップ無線とは、複数の無線通信装置を経由して、バケツリレーのようにデータを伝送する方法で構築したネットワークです。1台の親局で100台の子局を収容できるため、広いエリアの無線ネットワークをローコストで構築できます。また、自動的に経路を選択して通信を行うため、障害に強く信頼性に優れています。
「くにまる®」は、920MHz帯マルチホップ無線に対応することにより、低コストでモニタリングシステムの構築を実現できます。
「くにまる®」を用いたシステム構成例
ワイヤレスモニタリングシステム
無線を利用してセンサ信号を収集する構築が容易で経済的なワイヤレスシステムです。
少点数から多点数まで、配線の困難な離れた信号も簡単にワイヤレスネットワークに取り込めます。さらにインターネットに接続すればエリアを越えた遠隔モニタリングシステムが構築できます。
くにまる親機にI/Oマッピング機能搭載
920MHz帯無線通信による多重伝送システムを構築
ワイヤレスI/O WL40EW3は920MHz帯特定小電力無線局(親機)とModbusマスタ機能を搭載していて、くにまる子機(組合せ自由形リモートI/O、少チャネル一体形ワイヤレスI/O)間の入出力信号を自由に接続させることで、子機に入力された信号を別の子機から出力させることができます。よって、通信費用が不要の多重伝送システムを実現します。
I/Oマッピング機能※
WL40EW3には、I/Oマッピング機能が搭載されています。Di→Do、Ai→Aoのマッピング情報を登録することによって、くにまる子機間の入出力を接続することができます。WL40EW3には内部メモリとして接点入出力用のDioチャネルバッファ512点と、アナログ入出力用のAioチャネルバッファ512点が搭載されているため、これらチャネルバッファを中継することで入出力を接続します。くにまる子機から入力を読み出しチャネルバッファにセットするI/Oマッピング通信と、チャネルバッファからくにまる子機に出力を書き出すI/Oマッピング通信を設定するだけで、チャネルバッファを中継したくにまる子機間の入出力が接続されます。I/Oマッピング通信は最大100個まで設定できます。
※「I/Oマッピング機能」とは、Modbus/TCPマスタ機能を利用して、同じネットワーク上にあるリモートI/Oの相互間で自由に入力信号と出力信号の対応(接続)を定義できる機能です。この機能は、計器盤において入出力信号間を自由に結線(ハードワイヤリング)できる「マーシャリングボード」のような役割に相当します。
上位機器からモニタリングができます
WL40EW3のEthernetポートはModbus/TCPスレーブ機能も備えているため、PCやPLCなどのModbus/TCPマスタ機器はWL40EW3のチャネルバッファにアクセスしてデータをモニタリングできます。
I/Oマッピング機能 設定イメージ
WL40EW3で多重伝送システムがより簡単に!
従来、くにまるシリーズを用いた多重伝送システムを構築する場合、くにまる親機のEthernetネットワーク上にModbus/TCPマスタ機能とI/Oマッピング機能を有するIoT用端末データマルが必要でした。ワイヤレスI/O WL40EW3を使用することで、くにまる製品だけで多重伝送システムを構築できます。また伝送できる信号点数も大幅に増加します。
n対n双方向多重伝送が行えます
ワイヤレスI/O WL40EW3のI/Oマッピング機能を使用することで、くにまる子機によるn対nの双方向多重伝送が行えます。またWL40EW3の1つのチャネルバッファから複数のくにまる子機I/Oへの書き出し設定を行うことで、信号分岐も簡単に実現できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
エムジー「くにまる®」は、回折性が高く障害物に強い920MHz帯無線の特長と、信頼性の高いマルチホップ方式により、比較的広い範囲でネットワーク構築ができ、さらに免許申請不要、通信の配線工事不要といったコスト面でも優れた特長を持っています。
ご不明点やご相談など、ぜひお気軽に高木商会へお問い合わせください。
出典
※株式会社エムジー「エムエスツデー(MST2017年1月号)」
P8 くにまる®親機にI/Oマッピング機能搭載!
※株式会社エムジーカタログ
「920MHz帯マルチホップ無線 くにまる®」2016-12 NC-2403 500472
※株式会社エムジー「製品紹介・リモートI/O」Webサイト
920MHz帯マルチホップ無線 くにまる