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ベッコフ社製ASIC採用インタビュー:中央電子様

Product Search(プロダクトサーチ)
左:制御システム部 技術部長 町田氏 右:制御システム部 部長 池田氏

自社製品・受託製品に「ベッコフ社製ASIC」を採用いただいています。
2008年の検討当初から採用に至るまでの経緯や苦労話などを交えながら、今後の展望や現在検討している企業様へのアドバイスなどをお聞きしました。

ベッコフ社製メリット

EtherCATの導入増が顕著に

フィールドネットワークの導入状況について教えて下さい。

受託製品のご相談では、EtherCATの採用が非常に増えてきています。半導体や工作機械、成型機などのお客様からのご相談が多いですね。面白いところでは、研究機関も増えてきています。ヨーロッパの研究機関においてEtherCATを採用するところが増えてきていて、それを日本の研究者や先生たちが取り込み始めているようです。

採用の理由としてはやはり、通信スピードが速いところでしょうか。例えばヒーター制御に採用されたお客様には、ヒーターが持つ本来の応答性能が引き出せ、非常に良い製品の開発につながったと喜んでいただいたという経験があります。

当社は自動車業界においても実績が多く、EtherCATに限らず、ヨーロッパ系であれば「PLOFINET」などの相談もありますし、フィールドバスの観点ではCANの次世代規格である「CAN FD」や車載診断アクセスに使われる「DoIP」についても増えてきていますね。

それと、IO-Linkも今後増えてくるでしょうね。IoTの普及に伴ってデバイスの方までデータを上げるようになってきますからね。ほとんどの基幹ネットワーク企業がIO-Link協会に加入してますしね。EtherCAT Pも同じようなことはできますけど、使い方次第でしょうね。

EtherCATへの取り組みは2008年頃から

EtherCAT製品を開発した理由を教えて下さい。

当社の新しい規格や技術に関する取り組みについては、日常のお客様との会話をきっかけにすることがほとんどなんですよ。ある新しい規格をお客様が使いそう、あるいはきっと使うだろうといった情報を普段のお付き合いの中で収集し、先行投資で準備をしておくというスタンスです。つまり、お客様がいざ使うとなったときには、すでにその技術を使いこなせているという状態です。そういった流れの中のひとつにEtherCATがあったというだけで、当社としては数ある通信の中のひとつでしかないといった認識ですね。

自虐的に言ってしまうと、節操がないということになるでしょうね。CPUであればルネサス社であったりARM社だったり、FPGAならアルテラ社やザイリンクス社であったり、通信規格でいえばMECHATROLINKやPROFINET、CC-Linkであったりと、なんでもやりますよという考え方ですね。ですので、お客様がいざ「やるぞ」となったときには、「はい、どうぞ」とすぐにお応えできるようにしています。

EtherCATについては、2008年ごろから軸足を置き始めた感じですね。当時は、専用ネットワークが主流だったところにオープン化の動きがでてきていて、各社が様子を見ていた頃です。さまざまなオープン規格について、フィージビリティスタディなども散々やった記憶があります。その結果と業界動向状況を鑑みたところ、「これが来そうだね」となったのがそのタイミングだったわけです。

現在、採用いただいているお客様の中には我々が背中を押したみたいなところもありますね。当時はカタログ上のスペックはありましたけど、実データをみせられるところなんてほとんどなかったですから。

EtherCATはフレキシブルで非常に良いところが多いという印象

EtherCATのどんなところに良さを感じていますか。

ひとつは、PCに実装するだけでEtherCATマスターが構築できるところですね。組込みを得意とする当社としては大きな要因となっています。

もうひとつは、スピードが速いというところですね。後は、なんといってもETG(EtherCAT Technology Group)入会にお金がかからないところですね(笑い)。入りやすいのですが、当時、ETG-Japanがなかったため、四苦八苦したという苦い思い出もあります。今でこそ何百と加盟企業さんがいますが、立ち上げの時でしたからね、ミーティングもこじんまりした小さな会議室でやってました。

それと、フレキシブルなところですかね。いろんなオプションが付いていて、逆に多すぎると感じるぐらいなのですが、お客様には具体的にやりたいことをご提示いただかないと困る場面がありますね。漠然と「既存のネットワークをEtherCATに変えて」とか。どんなアプリを実現したいのか、より明確なご相談だと、提案する側としてもより具体的にお応えすることができます。

とにかく、非常に良いところが多いという印象ですね。トポロジーが自由であるとか、メディアコンバーターを使って光通信させたいときに保障もされているとか、早い段階でもさまざまな面でクリアになっていました。

接続できるノード数が大きい(最大接続ノード数:65,535台)ですから、マスターが各ノードにアドレスを自動で割付けてくれるのなんかも良いですね。ただ、日本だけなのですが、従来の考え方からアドレススイッチを設ける傾向にあるので、合理的に設定できないということがありますね。

ベッコフ社製ASICについて

ベッコフ社製ASICをどのように利用していますか。

自社開発製品のEtherCATスレーブ一式(型式:ECAT-S-MCL、ECAT-S-IFなど)、スレーブの組込み全般ですね。ASICになんらかのCPUまたはFPGAの組み合わせで使用しています。

最近だと、ルネサス社のRZやR-IN、TI社のAM335xなども使用しています。自社製品のマスターモジュールなんかは、このパターンですね。マスターと謳ってますが、スレーブにもなれるんですよ。

とはいえ、ASIC+CPUみたいな方がまだまだ多いというか、ほとんどこれですね。どのくらい使用しているかは供給元の貴社ならボリュームはご存知でしょうけど(笑い)。使い分けとしては、サイズですね。コストで比較しても実はそんなに変わらないんですよ。なので、どうしても小さく収めたいという場合だけセカンドソースを利用するという感じになっています。

ベッコフ社製ASICを選ばれた理由を教えて下さい。

まぁ、オリジナルであるということでしょうね。検討を始めるときもまずはオリジナルを使います。実際、ベッコフオリジナルFAPCにTwin-CATを実装された物をマスターとし、ベッコフASICを搭載したスレーブを評価したのですが、それが基準になります。ある種「神」として扱います。つまり、セカンドソースがでてきても、何か不具合があった場合「オリジナルだとどうなんだろう」と比較できますから。

オリジナルなのでWebで仕様が公開されていますし、当たり前ですが仕様の通り動かすことができます。セカンドソースだとそうはいかない場合も少なからずあるんですよね。そうすると機能が限定されたり、出始めのころだとバグがあったりと信頼性に欠ける部分がどうしても出てきます。

実際、そういった点で各メーカーの現場の方が苦労されているのを見かけますし、そういったご相談もよくあります。あるサプライヤーさんから、どうしてもうまくいかないという相談を受けて、EtherCATの部分だけ作ってあげたこともありました。いわば「駆け込み寺」みたいなものですね。

EtherCATから各種フィールドへのゲートウェイデモ機

EtherCATから各種フィールドへのゲートウェイデモ機

ベッコフ社製ASIC以外に検討されたものはありましたか。

ヒルシャー社の「netX」も使いましたね。マルチプロトコルなので、オープンネットワークの黎明期では重宝しましたね。

それと、FPGAも検討しました。これもベッコフ製ですけど「EtherCAT FPGA IP Core」ですね。ライセンスが高くて断念しました(笑い)。今は半額くらいになったらしいですけど。

EtherCAT製品開発時に苦労した点は

オープンな規格ということもあり、ETGからサンプルコードを提供されたことがあったのですが、一番初めのころに取り掛かったので、ソースコードにバグがあったんですよ。手を付け始めたらなかなか動かなくて、なんだろうと奮闘した結果「これ、バグじゃない?」みたいな話になってようやく動かすことができたということがありました。今は流石にそんなことはないので、スムーズに導入できると思いますけど。

まぁこの石(ASIC)に限らずに、外国製のものってソースコードがいい加減なものって結構あるんですよ。なので、だいたいこういう場面は評価の時に直しながら進めています。オリジナルだからと真に受けて進めてしまう人だと、ずっとうまくいかないなんてことがありますよね。そういった経験をしているので、なにか問題に直面した時も比較的早い段階で不具合の切り分けができるようになっています。そんなふうに、最初の段階は非常に苦労したと記憶しています。

ベッコフ社製ASICを導入した効果を教えて下さい。

当社は使うというより、売る側なので売り上げが上がってきましたというところが効果となってしまいますね。

実際、EtherCATを利用しているお客様の声を聴くと、駆動もできてマスターが一つで済む、DIOもできる、距離が伸ばせるなど、EtherCAT一つで解決できることが多いことが決め手みたいなところはありますね。マルチベンダーということで、選択肢も比較的ありますし縛りがないというのは強みですね。

EtherCATはモーターをドライブするのに特化しているわけではなくて、モーターにも使えるし他にも使えるわけですよ。だから楽なんでしょうね。今までは、使い分けでフィールドバスがごっちゃになるということがよくあったんですよ。そういった効果は大きいと思いますよ。

自社開発製品のEtherCAT構成デモパネル

自社開発製品のEtherCAT構成デモパネル

EtherCATソリューション展示デモ機

EtherCATソリューション展示デモ機

EtherCAT導入の際は事前評価をしっかり行うこと

EtherCATの導入を検討している企業へアドバイスをお願いします。

いやいや、そんな偉そうなことは言えませんよ(笑い)。まぁそうですね、柔軟なところでしょうね。それと、世界的に採用が進んでいるところですね。対応機器が増えてきているので選択肢が豊富ですし、技術もこなれてきていますよね。なので、情報も豊富にありますし非常に使いやすくなってきています。安定もしていて、敷設した際もトラブルは少ないですし。

ただ、導入しやすい環境になったとはいえ、評価はしっかりとした方が良いとは思います。EtherCATのコンフォーマンステスト(ソフト側)が通っていても、Ethernetの物理層コンプライアンステストはしていない製品とかありますから。

EtherCAT自体については「本当におすすめですよ」と言えますね。

インタビュー:2017年9月
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