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産業用PC C6015 コンパクトと高性能を両立したベッコフによるIoTソリューション

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2017年ドイツのハノーファーで開催されたハノーファーメッセにおいてベッコフオートメーション株式会社は、業界最小サイズの超小型産業用PC「C6015」を発表しました。工場のラインや生産設備のIoT化が求められる中、C6015がIoTゲートウェイやエッジPCとして最適な選択肢であるとして高い注目を集めています。ここではC6015の特長や用途をご紹介するとともに、さらなる高性能を実現した新しいシリーズであるC6030についてもご紹介します。

1.業界最小サイズの産業用PC「C6015」

C6015

図1:C6015

C6015は82W×82H×40Dmmという手の平サイズでありながら、最大4コアのマルチコアCPU、60GBのSSD、OSはWindows10 IoTを搭載したフルスペックの産業用PCです。 ベッコフの産業用PCですからEtherCATマスターとしても最適化されているのは言うまでもありません。ベッコフのリアルタイム制御ソフトウェアTwinCATを使えば、この手のひらサイズの産業用PCがPLC、CNC、ロボット制御などさまざまな制御を行うEtherCATマスターとして活用できます。

2.IoTゲートウェイとしてのC6015

C6015が世界各国で注目される大きな理由に「IoTゲートウェイ」としての用途があります。

新規で制御システムを構築する場合は、はじめからIoT化を計画して最適なシステム設計をすることが可能ですが、既存のシステムの場合はそうはいきません。お客様のほとんどは既に制御装置をお持ちですので、いかにして既存のシステムを活かしつつIoT化を進めるかが多くのお客様の共通の問題でした。

そんな問題を解決したのがC6015です。図1を見れば分かる通り、C6015は標準でギガビットイーサネットポートを2つ搭載しています。そのうち1つを既存設備のコントローラー等に接続してデータを収集し、空いたポートをネットワーク経由で外部サーバーやクラウド等に接続するだけで簡単にIoT化が実現できます。既存設備の制御盤でもC6015の大きさであれば設置するスペースは必ずあります。

「超小型である」という最大の特長を活かした既存設備のIoT化へのアプローチですが、TwinCATを組み合わせることでその可能性はさらに広がります。TwinCATを使えばC6015にPLC、CNC、ロボット制御などの機能を持たせることができるのは前述した通りですが、近年のIoTに対するお客様のニーズに応えるためにTwinCAT IoTファミリーとしてさまざまなIoT機能を順次リリースしています。これらの機能を利用することで、複雑なプログラミング不要でクラウドを介したデータの送受信やデータ分析などが可能になります。

3.TwinCAT IoT機能の紹介

① TwinCAT概要

TwinCATはベッコフが提供するリアルタイム制御ソフトウェアです。ベッコフの産業用PCはすべてWindows OSが搭載されていますが、TwinCATを使うことでWindows PCでリアルタイム制御を実現しています。制御を行う際は、TwinCAT独自のリアルタイムカーネルがWindows OSとは独立して制御部分を司るため、非リアルタイムOSのPCでリアルタイム制御が可能になります。

TwinCAT構成図と開発環境

図2:TwinCAT構成図と開発環境

TwinCATにはPLC、NC、CNC、モーション、ロボティクスなどさまざまな機能があり、一台のPCでこれら種類の異なる制御を同時に行うことも可能です。TwinCATを使えば、最新のアーキテクチャーのCPUを搭載するベッコフの産業用PCの能力を最大限にして非常に高度な統合制御環境を構築できます。

② TC3 IoT Communication

さまざまな機能を持つTwinCATですが、IoT化のニーズに応えるべく新しいIoT機能も開発されています。まずはTC3 IoT Communication(TF6701)をご紹介します。これはTwinCAT内の任意のデータを簡単に外部に送信するための機能で、Microsoft AzureやAmazon AWSのようなパブリッククラウドやローカルサーバーに配置したメッセージブローカーとMQTT形式でTwinCAT内データをPublish/Subscribeできます。メッセージブローカーとデータをやり取りするためのファンクションブロックが既に実装されているため、ユーザーはこれを使うことで簡単にシステムをIoT化可能です。TwinCAT上では制御システム全体のあらゆるデータが常に管理されているため、ユーザーはその中から必要なものだけを選択すれば良いのです。例えば、産業用PCやIOターミナルのステータスや温度、振動等のセンサー値をTC3 IoT Communicationを使って外部から遠隔監視する、というような使い方も簡単に実現できます。また、スマートフォンやタブレットから上記データにアクセスすることも可能です。

図3:TC3 IoT Communication

図3:TC3 IoT Communication

MQTTはメッセージブローカーを仲介してデータのやりとりを行うためPublish/Subscribe双方の機器がお互いを認識する必要が無く、また一つのPublisherに対して複数のSubscriberがデータを受けることもできます。

③ TC3 OPC UA

OPC UAはFA分野やその他業界の各機器間でプラットフォームに依存せず、安全で信頼性あるデータ交換を行うための標準規格です。主にクラウドを利用することが前提のMQTT通信に対しOPC UAはローカル/クラウドどちらの運用も想定されており、国内でもFA用途で採用されるケースが多くなってきました。

そんなOPC UAに対応したTwinCATの機能がTC3 OPC UA(TF6100)です。TC3 OPC UAはサーバーコンポーネントとクライアントコンポーネントの両方で構成されているため、接続するシステムの状況や目的に合わせて柔軟な設計が可能です。この機能を使えばTwinCATランタイムの動作するIPC内にOPC UAサーバー(もしくはクライアント)が構成され、OPC UA通信を介してMESやERPなどの外部のOPC UAデバイスとTwinCATランタイムが直接通信できます。つまり、OPC UAの通信に対応していればメーカーや機器の種類を問わずあらゆるデバイスから、PLCの変数やIOタスク等のIPC(TwinCATランタイム)内データにアクセスが可能です。OPC UAサーバーはローカルのIPC上に構築可能なので、クラウドを使わずに既存の設備のIoT化ができるのは大きなメリットと言えます。

なお、ベッコフは10年以上前からOPC UAに対応した製品を手がけており、現在もOPC FoundationにBoard of Directorsとして参画しています。そのため最新のOPC UAの仕様に対応していち早く製品化できるという強みがあります。

④ 今後のリリース予定

TwinCAT IoT機能は今後も拡張を続けます。

リアルタイムで収集したデータをTwinCAT内で分析、抽出して最適化するためのTwinCAT Analytics機能や、TwinCATのプロジェクトとは独立してゲートウェイとして動作するTC3 IoTデータエージェントもリリースが待たれています。

図4:TC3 OPC UA

4.さらなる高性能を実現した「C6030」

図5:C6030

図5:C6030

1項でご紹介したC6015ですが、そのコンパクトさを活かしてIoTゲートウェイを実現しました。ですが一方でお客様からは「もっと高性能で小型のIPCが欲しい」という声をいただきました。C6015は4コアとは言えAtom™CPUですので処理能力はさほど高くありません。IoTゲートウェイとして利用するだけであれば充分ですが、そこで何らかの重い処理が要求される場合はC6015では対応しきれないケースもあります。

そんな要求に応えるべく開発されたのがC6030です。昨年ドイツで開催されたSPS IPC Drivesにおいて発表され、C6015の発表時と同じく多くの注目を集めました。C6015よりも一回り大きいものの、129W×133H×76DmmとCore™i7を搭載する最高性能のIPCとしては非常にコンパクトな設計になっています。C6015よりも少し大きくなっている分、各種インターフェースは拡充されており、ギガビットイーサネットポート×4、USB3.0×4、ディスプレイポート×2が配置されています。

C6030は単なるIoTゲートウェイとしてはオーバースペックですが、IoTゲートウェイとしての機能を持ちながら、収集したデータの分析や各種ソフトウェアとの連携、アプリケーションによっては画像処理も組み合わせて処理を行うような、いわゆる「エッジヘビー」なシステム構成においては最適な選択肢になります。また、オプションで最大120GBのSSDまで搭載できるので、データロガー的な使い方も可能です。

C6015はIoTゲートウェイ、C6030はエッジヘビーコンピューティングといずれもこれからニーズがますます高まるアプリケーションに最適なプラットフォームです。ベッコフは今後これら2つのIPCを軸として新しいIPCを開発していくと発表しており、今後のさらなる魅力的な製品拡充が期待されます。

5.おわりに

産業界において取り扱われるデータはより大規模、高速になり、それに対応したIoT技術は不可欠なものになります。ベッコフは今回ご紹介した小型IPCやTwinCATの新機能などで今後もたくさんのお客様に新しい価値を提供できるように取り組んで参ります。今後とも注目していただけると幸いです。

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