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ベッコフ社IPCの導入メリットは計り知れず!「PCの汎用性+EtherCATの特性」を活かしたPC制御技術で生産現場に革新

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アイダエンジニアリング社では、中・大型サーボプレス製品の標準機能用コントローラーなどに『ベッコフ社製IPC』を採用いただいています。ご採用の経緯や自社独自の制御技術の考え方や今後の展開などのお話を技術本部 システム制御部 金子外幸さんにお聞きしました。

ベッコフ社製メリット

地域最適を補完する標準化ネットワークとしてEtherCATの採用が拡大

フィールドネットワークの導入状況について教えてください。

当社は世界5極(日本、中国、マレーシア、アメリカ、イタリア)に生産開発拠点を持つグローバル企業です。当社が販売するプレス機械で使用される制御機器については、それぞれの地域でスタンダードに使用されている機器を採用することで、それぞれの地域ごとに異なる人、物、金の特性を最大限に活かすようメーカー選定しています。

大きく分けると日系の三菱・安川、欧州系のシーメンス、米州系のアレン・ブラドリーなどになります。これらの制御機器メーカーで使用されるフィールドネットワークもCC-Link、MECHATROLINK、PROFINET、Ethernet/IPと様々です。

弊社の制御システムでは、これら地域別に最適化されたフィールドネットワーク以外に地域枠をこえた標準機能向けのサブネットワークとしてEtherCATの採用が広がっています。

プラットフォームに依存しない独自性を活せるフレキシブルな制御

EtherCAT製品を使用した理由を教えてください。

何といっても、高速性と長距離伝送が可能な点です。プレスラインの構成要素となるプレス・搬送装置を複数台最適同調制御するために不可欠な要素となります。

また、EtherCATに接続されるベッコフI/O製品群の使用方法が単純化、画一化されていて使う側のアイデアを入れやすい点が他メーカーとは一線を画すものがあります。

一般的な国産モーションコントローラーやI/Oのアプリケーションを設計する場合、メーカーが用意したファンクションブロックを利用するため、そのメーカーのプラットフォームに依存してしまいます。ベッコフの場合は、ファンクションブロックも用意されていますが、それらの中間層のアプリケーションを経由せずにサーボモーターなど各種デバイスに直接細かな指令を出すことができます。

それらの指令を組み合わせてファンクションをユーザーがつくることもできます。それによりユーザーアプリケーションの自由度が高まり、他社には無いユーザー独自の技術を盛り込むことができます。その結果、我々が内製コントロールで培ってきた基礎技術をそのまま転用できた点が良いと感じています。

もともと我々は、組込み系の技術を利用する立場であったこと、そして社風でしょうか。当社はさまざまな技術者を要し、独自にモノづくりを進める伝統があります。自社でモーターを作ったり、アンプを作ったりと。その基礎技術をしっかりと理解することを技術者に求めてきましたし、そういった人材の育成を図ってきました。そういった独自性を追求する考え方にマッチしていたというところもありますね。

ベッコフ社製IPCの利用状況を教えてください。

ベッコフ社製IPCは当社サーボプレス製品ラインアップの中で主に中・大型機の標準機能用コントローラーとして採用しています。そのほか、大型プレスラインの同期制御コントローラー、工程間搬送装置モーションコントローラーとしても採用されています。コントローラーの役割はサーボプレスの標準機能、例えばモーター制御、タイミングスイッチなどを受け持っています。

一般的なPLCと言うより従来組込みコントローラーが受け持っていた仕事をPCベースリアルタイムコントローラーであるベッコフ社製IPCに代替した構成となります。従来から内製組込みコントローラーを標準機能用として使用していましたが、それに並ぶ存在としてお互いの長所を伸ばしながらさまざまな要件に対応しています。

大型サーボタンデムライン

大型サーボタンデムライン(同社提供)

ベッコフ社製IPCの導入の経緯をおしえてください。

2000年に当社のグループ会社のアクセス/電子開発部門において、内製コントローラーに変わる次世代モーションコントローラーの研究開発がスタートしPCベースシステムの採用方針が決められました。当時の最新情報をもとにWindowsXP Embeddedにリアルタイム拡張「RTX」とRTX下でリアルタイム動作するソフトウェアPLC「ISaGRAF」をPro-faceのタッチパネルに組み込んだ装置を開発し製品化を目指していました。

ちょうど同じ頃、弊社の欧州生産拠点よりPCベースコントローラーとして有力なメーカーがあるとの情報が伝えられ、技術メンバーが視察訪問したのがベッコフ社です。その頃のベッコフ社のフィールドバスは光ケーブルを使用したライトバスが主流でしたが、ハンス・ベッコフ氏がイーサネットベースのフィールドバスシステム、後のEtherCATをリリースすると熱く語っていたことを覚えています。

他に検討した製品はありましたか。

ありません。我々が求めていたのはPCベースコントロールであり、過去から現在に至るまでそれを工業用製品として世界的サービスを含めた形でまとめ上げているメーカーが他に存在していないからです。

前述の、「ISaGRAF」組み合わせで進めた場合、問題となるのはそこにぶら下がるI/Oです。自社でそれらを作り上げるというのは途方もないことです。ベッコフ社のカタログを見るとわかりますが、あの分厚さのI/Oを用意するというのはすごいことです。産業用途として用意した場合、それに見合ったI/Oをラインアップすることは、企業力や体力、グローバルに広がる販売力がないと成り立ちません。

そういった背景もあり自社で内製するよりも、ベッコフ社の総合力を利用し目的を達成するのが妥当だと考えたわけです。

ベッコフ社製IPCを導入した効果を教えてください。

PCの汎用性にリアルタイム性が加わり、しかも多種多様なセンサー群とのデータ授受が可能となるメリットには、計り知れないものがあります。具体的には、従来、組込み基板で拡散されていたさまざまな情報がPCベースコントローラーに集約されることで、日々発生する機械のトラブル解析に効果を発揮しています。

当社が開発したPCベースコントローラーは刻々と変化する大量の機械制御情報を常時PCメモリー内にサンプリングしていて、機械異常停止のタイミングでUSBストレージやクラウドにExcelで記録するレコード機能が標準的に組み込まれています。これにより故障発生前後の制御状態を微細に解析することが可能となり、24時間稼働する機械のトラブル、特に納入後1度しか発生していないようなレアなトラブルに対しても解析結果に基づいた確実な対策が可能となっています。

また、プレスがサーボ化されることにより今までにはない加工法や高効率の生産システムの構築が可能となる反面、オペレーションが複雑化し性能を十分に発揮できない場面があります。対策としてPCの3Dグラフィックスによるデータ可視化機能を搭載した製品も生まれています。

ダイレクトサーボフォーマDSF-Tシリーズ

ダイレクトサーボフォーマDSF-Tシリーズ(同社提供)

市場要求に対応するためのPC制御技術

PC制御の将来性についてどのようにお考えでしょうか。

私自身の考えですが、PC制御での安全対応が確立されれば、すべてとは言いませんがPLC制御からPC制御が主流になると考えます。そうなった場合、各社のソフトウェアエンジニアの育成が肝になってくるでしょう。PC制御に確実に推移するだろうと考えますが、それに対応できるエンジニアがいないことには始まりません。

特にこれからのIoT時代では、データのやり取りが重要になってきます。機械の制御以外の情報が上流にあった場合、それこそ一般社会の情報インフラであった場合に大きな差ができると思います。その時がきたら制御メーカーはついていけなくなってしまうと思います。したがって、PCの技術、特にWindowsベースのPC技術を利用しないと、市場要求への対応が間に合わないと考えています。

上位層、例えばクラウドなどへの対応も検討されているのでしょうか。

すでに、始めていますよ。インターネットを介して稼働状況をはじめ、予防保全、イベント発生履歴などの機械情報を確認できる「Ai CARE」というサービスを提供しています。Ai CAREは、PLC制御をベースとしたサービスでクオリカ社の「Care Qube」を利用しています。

さらに先日「MF-Tokyo 2017」では、我々が携わるPC制御ベースのサービス「Ai Care T」を展示しました。Ai Care Tは、Microsoft Azureを利用したIoTサービスとなっており、今秋の発売を予定しています。Windowsでクラウドとなれば、まずはAzureだと考えた結果そうなりました。開発環境であるVisual StudioにもAzure接続のメニューが出てきますからね。もうつながって当たり前なんですよ。最近ITに明るい社員を採用しお願いしているのですが、おもしろいと喜んで携わってくれています。もちろんAzure利用の開発についても自社で行っており、外注は一切していません。Microsoftの担当者と直接やり取りしながら進めています。

そこでベッコフ社のIPCが最適だったということでしょうか。

前述の通り、現状ではWindowsベースのPCで制御をすることが最適だと考えており、そこに十分対応していたのがベッコフ社だったということですね。

国内企業にもベッコフ社製品の採用が広がると思いますか。

国内制御メーカーに限ると、ベッコフ社の製品利用が高まるかと言ったら少し疑問が残ります。なぜかというと、マニュアルがすべて英語だからです。「マニュアルが日本語じゃないと…」という抵抗感をお持ちの企業は多く存在します。グローバルで見たとき、日本は普通じゃない。英語が世界共通言語ですから。

したがって、日本語のマニュアルはいつまでたっても作られないでしょう。つまり、よほどのことがないと、ネガティブにとらえている方は使わないということになります。

実は当社でもマニュアルを英語から日本語に翻訳しようとした経験があります。半年間専任者を設けましたが、修正や更新が追いつかず不可能と判断しました。また、当社では海外での売り上げが大きくなってきており、お客様との商談や現地サポートなどはすべて英語です。営業マニュアルなども英語で準備していますので、ハード側のマニュアルも英語であるほうが都合よく利用できます。

ですから、我々としては英語に対するネガティブなイメージは払拭されてきているので現在においては、特に問題とは感じていません。海外に展開するならば、この製品が最適だと考えるのはそういった背景があるからでしょう。

実現への想いと 企業内のソフトウェア志向が重要

EtherCATの導入を検討している企業へアドバイスをお願いします。

EtherCATは単なるフィールドバスの規格であり、バス規格だけ比較検討してもあまり意味のないことです。それにつながる制御機器、特に上位機器がどのようなコンセプトをもった物であるかを判断することが重要と考えます。

我々はEtherCATを開発したベッコフ社製品を使用することにメリットを感じています。PCを活用して思い通りの制御ができるのは大きな魅力です。

したがって、製品に対して何をしたいかという想いと、それを実現するためのソフトウェア志向が企業内に存在することが最も重要であると考えます。そういった企業風土があるならば、ベッコフ社のIPCは最適な製品の一つであると言えると思います。

インタビュー:2017年9月21日
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